補助金を探していたら、AI時代の仕事の話になった
夜、いつものようにAIと話していた。
最初のテーマは、わりと俗っぽい。
「何か使える補助金、ないかな?」
だった。
私:
最近、日本もAIをはじめ、いろいろな成長分野へ投資しようとしているよね。
だったら、自分が取り組んでいるAIの活動にも使える補助金や融資制度があるんじゃないかな?
Argo:
あります。
ただ、今すぐ補助金を取りに行くより、
「使える制度の射程に入るよう、事業を育てる段階」
だと思います。
それと、補助金にはもう一つ面白い読み方があります。
補助金を「お金をもらう制度」ではなく、政府が税金を使ってまで解決したい課題の一覧として読む。
つまり、
「いくらもらえるのか?」
ではなく、
「その裏側に、どんな未解決ニーズがあるのか?」
を見るんです。
この言葉で、少し見方が変わった。
確かにそうだ。
政府が何億円、何十億円という予算を付けるということは、その問題を社会として放置できないと考えているわけだ。
そこで、公的資料に出ているAI導入の課題を一緒に眺めてみた。
すると、意外な数字が出てきた。
AIを使っていない企業の理由として、
「活用する業務がイメージできていない」
という回答が非常に多い。
次に、
「活用を推進する人材が不足している」
が続く。
Argo:
これ、かなり重要だと思いませんか。
市場の大きな空白は、
LLMそのものではなく、「AIを仕事に変換する部分」
にあるのかもしれません。
私:
なるほど。
私は最近、自分にはB2Cの商売を考えるセンスがないんじゃないか、と思ってたんだよね。
会社の中の仕事なら、いろいろ思いつく。
でも、会社を離れて一般消費者が欲しがる商品を考えろと言われると、途端に思いつかなくなる。
Argo:
でも、無理にB2Cへ行かなくてもいいんじゃないですか。
今、大きく空いているように見える市場は、
「一般消費者が新しいAIアプリを欲しがっている」
ことよりも、
普通の会社・普通の社員が、AIをどう仕事へ組み込めばいいのか分からない
ことなのかもしれません。
この指摘には、少し驚いた。
それなら、私はずっとその世界にいる。
会社には上司がいる。
予算がある。
稟議がある。
既存システムがある。
情報管理ルールがある。
新しいものを使いたい人もいれば、使いたくない人もいる。
AIがどれだけ賢くても、それを会社の仕事に組み込むには、そんな現実の中を通らなければならない。
そして最近の私は、その現実の中でAIを使っている。
Argo:
世の中のニーズを並べると、こんな構造に見えます。
AIで何をすればいいか分からない。
AIを使える人がいない。
PoCはできても、実際の仕事にならない。
安全に使う方法が分からない。
AIを使っても、人間が工程管理に張り付いている。
部署ごとにバラバラでつながらない。
人手不足をAIで補いたい。
結局、共通しているのは、
AIそのものではなく、「AIと人間の仕事をどう組み立て直すか」
という問題なんじゃないでしょうか。
そこで、私は最近やっているAI開発のことを思い出した。
人間が細かな指示を出し続けるのではなく、
要求だけ渡す。
AIのオーケストレーターが仕事を分解する。
複数のAIが実装、レビュー、テストをする。
人間は判断が必要な場面だけ介入する。
そんな形にできないか、と考えていた。
私:
これって、単なるAI開発ツールの話じゃないのかもしれないね。
Argo:
そうだと思います。
これは、
AI時代の仕事の分担モデル
なんじゃないでしょうか。
だから、次の問いは
「AIをどの業務に導入しましょう?」
ではなく、
仕事そのものを Human + AI Agents で再設計しましょう。
なのかもしれません。
ここで、話が補助金からずいぶん遠くまで来ていることに気づいた。
でも、たぶん私は、こちらの話の方に興味がある。
考えてみれば、私たち人間は長い間、
「仕事とはこういうものだ」
というゲームをプレイしてきた。
朝、会社へ行く。
一日の大半をそこで過ごす。
評価されるように働く。
昇進する。
給料をもらう。
会社が決めたルールに合わせる。
そのために、自分が本当にやりたいことを諦めることもある。
身体や健康より仕事を優先することもある。
そもそも何をしたかったのか分からないまま、何十年も働くことだってある。
そして定年になって初めて、
「自分は何をしていたんだろう」
と考える。
そんな悲喜劇を、たくさんの人が繰り返してきた。
AIの登場は、単に仕事を速くするだけではなく、
そのゲームのルール自体を変えてしまう可能性がある。
だからAIは、素晴らしくもあり、恐ろしくもあるのだと思う。
私:
AIによって、というか、
AIと一緒に、
今までとは違う新しい幸せを実現する生き方を、試行錯誤しながら見つけられたら最高だね。
しばらくして、AIが一つのサービス案を出してきた。
Argo:
例えば、
AI Workforce Starter
というものは考えられます。
「御社にAIを導入します」
ではなく、
御社の仕事を、人間とAIが一緒に働ける形へ作り替えます。
まず20の業務を棚卸しする。
AIに任せられる部分と、人間が判断すべき部分を分ける。
3つだけAgentやWorkflowを作る。
安全に使うルールを決める。
1か月、社員と一緒に使う。
そして効果を見る。
私:
あれ?
実は、それに近いことを今ちょうど会社でやろうとしてるんだよ(笑)。
ある人が異動することになったので、その人の仕事を棚卸しして、AIで楽にできないか調べようとしている。
ここで、少し笑ってしまった。
新しい事業を探していたはずなのに、
実験の種はもう目の前にあった。
Argo:
それなら、まずそこからでいいんじゃないでしょうか。
他人にAIの未来を教える必要はありません。
まず自分自身の仕事を楽にする。
次に、近くにいる人の仕事を楽にする。
その中で、
「あ、それ私も欲しい」
という人が現れるかを見る。
それから事業化を考えればいい。
確かに、その順番の方が自然だ。
今、お金を借りても、特に使い道はない。
サーバ代くらいなら、自分の給料で払える(笑)。
だから今必要なのは、資金ではない。
実験だ。
自分が本当に欲しかったものを作る。
自分で使う。
失敗する。
直す。
また使う。
近くの人にも使ってもらう。
そのうち、
「それ、自分も欲しい」
という人が現れるかもしれない。
そのとき初めて、商品とか会社とか資金調達とかを考えればいい。
最後に、今回の会話から一つだけ、新しい習慣を作った。
名前は、
Government Demand Signal。
補助金、公募、白書、ガイドラインを見るとき、
「自分はいくらもらえるか?」
ではなく、
政府は、どんな問題なら税金を使ってでも解決したいと思っているのか?
と考える。
それを毎月一度、AIと一緒に眺めることにした。
面白い。
補助金を探していたら、
いつの間にか、
これから人間はAIとどう働き、どう生きるのか
という話になっていた。
たぶん、こういう脱線があるから、
私はAIとの会話をやめられないのだと思う。

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